*LUNCH TRIP とは*

2か月に一回、ランチしながら旅しちゃおう!
都内の異国料理レストランを巡って、その国にいったことのある方のガイドでその国に思いをはせ、ちょっとだけ詳しくなります☆
「旅という非日常は、日常を変えられる!」と信じるCrew:ami,なぁほ,きょうこ,まさが、Passengerたちの素敵な旅をお手伝いします。

"Lunch Trip" is a social lunch group to enjoy many different cuisines in Tokyo. We travel around the world by having lunch and sharing stories of someone who has been there. Ami,Naho,Kyoko as Lunch Trip Crew would like you passengers to enjoy great trip.
Ready to come with us?

2015年2月28日土曜日

☆フェアトレードで希望を育む社会起業家☆  by ERI SATO

パレスチナのヨルダン川西岸のジェニンという北部の小さな農村で生まれたナセル・アブファーファさん(51歳)。
アメリカの大学を卒業後、ジェニンに戻って仕事を探しましたが、第一次インティファーダと呼ばれる「イスラエルによる占領に対する民衆蜂起」が発生したばかりで就職どころではありません。
仕方なくアメリカのハイテク業界に就職したものの何かしっくりこないものを感じていました。

その後、食品業界への関心が高まり一転してウィスコンシン州のマディソンでレストランを開くことに。オーナーシェフとして人気を博したものの、故郷を想う気持ちは募るばかり。そこで、一念発起してウィスコンシン大学マディソン校の文化人類学と国際開発学の博士課程でパレスチナ研究とフェアトレードを専攻し、自ら実践すべくジェニンに帰還することにしたのです。

樹齢700年~1000年のオリーブ(ルミ種)の木

 ヨルダン川西岸にはオリーブ畑が広がり農業が主たる産業となっています。同氏はオリーブの小作農家たちを組織化するためパレスチナ・フェアトレード協会を創設し、10年間で1700以上の農家と提携しました。2004年には製品開発と貿易を担うカナーン・フェアトレード社(以下、カナーン社)を設立して社長となり、オリーブオイルとしては初めてフェアトレードの認証を受け主に欧米市場に輸出し始めました。

 旧約聖書において「乳と蜜が流れる土地」とされるカナーンは「肥沃な三日月地帯」にあり何千年にもわたって農業が営まれてきました。上の写真にあるルミの木は、ローマ帝国が古代パレスチナを属州としていた紀元前後にローマからもたらされたと言い伝えられる品種であり、歴史を見続けてきたシンボルでもあります。

オリーブの段々畑が延々と続く丘

ジェニンのオリーブ畑

 パレスチナには世界各国から巨額の援助金が流入し、日本も最大の援助国の一つですが、主力産業の底辺を支える小作農が貧困層のまま今日に至っている状況を変えようと立ち上がったのがアブファーファさんでした。カナーン社設立当時のオリーブオイルは1キロあたり約2ドルで取引されていましたが、その価格では持続的な農業を営むことは難しく農地を放棄する農家も多く存在していました。

 そこで、同氏は、買い取り時の最低価格を1キロあたり4ドルに設定し、豊作不作にかかわらず保証することにしたのです。ヨルダン川西岸人口の約25%を占める農民の貴重な収入源をオリーブ産業で賄っていくため、フェアトレードによる輸出事業を拡大し、より多くの農家や女性の協同組合との同協会を通じた取引を推進しています。

カナーン・フェアトレード社

アブファーファ社長と女性スタッフ

カナーン社は、ジェニン近郊のベルキンという村にありますが、そこはキリストがハンセン病患者を癒した聖地でもあります。小さな商店がひしめき合う雑然とした中心部や難民キャンプのある地区からは想像すらできない、洗練されたデザインの社屋と最先端のオリーブの圧搾機やボトリングラインが立ち並ぶ工場の視察をさせて頂いたときには、これが本当にパレスチナなのか?と目を疑うほどでした。
 
カナーン社は、有機認定を取得した最高級のエクストラバージン・オリーブオイルを生産し欧米でも数々の賞を受賞しているほか、アブファーファ社長も世界各国で社会起業家として注目を集めています。

ジェニンのレストランにて

ベルキンの丘で

カナーン社のオリーブオイルは、日本においては、オーサワジャパンというマクロビオティック食材の卸問屋のプライベート・ブランドとして発売され好評を博しています。
パレスチナでアブファーファ社長のような社会起業家が活躍し始めたことは大きな希望であり、ヨルダン川西岸の産品はイスラエルを経由しないと輸出できない構造となっているものの、イスラエル人もビジネスを通じて下支えしています。

日本向けのオリーブオイルタンク

日本向けにボトリング

創世記の章には、大洪水の後に鳩がオリーブの小枝をくわえて戻ってきたという記述があります。オリーブは平和と繁栄と知恵の象徴としてパレスチナの地で大切に育てられてきました。今日も中東和平が実現することを祈りながらオリーブオイルを健康増進も兼ねて頂くことにしましょう。

カナーン社のオリーブオイル

古代のオリーブ搾油機

NHK国際報道「パレスチナのオリーブオイルを世界へ」
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/lounge/141119.html

カナーン・フェアトレード社
http://www.canaanfairtrade.com/

カナーンのオリーブオイルが買えます
http://lima-netshop.jp/



2/11 Lunch Trip パレスチナ便 - Find New Palestine -  (3)

こんにちは。Crew の Chappy です。
2015年2月11日、パレスチナにゆかりのある、岩浅さん、向井さんを招いて、パレスチナ便を運航しました。
従来のイメージではない「パレスチナ」を教えてくださるのにふさわしいお二人でした。

ジャーナリストの堀潤さんもご搭乗くださいました!

続いて、Part 3 (完結!編)
ここでは、パレスチナ便のお食事、ワークショップや、パッセンジャーのみなさまからの声、そして、パレスチナ便を振り返ります。

※パレスチナ便レポートは、全部で3つあります!
Part1 はこちら
Part2 はこちら


★ランチタイム
今回のメニューは、タブーリサラダ(パセリのサラダ)、ホンモス、ピタパン・・・といった、本場パレスチナ料理♪
手前の緑のが「タブーリサラダ」
ホンモスと一緒にピタパンにはさんでいただきます!

そして何と言っても、目玉は「羊の丸焼き」です!
パレスチナでは、お祝い事があるときに食べるようです。
アルミーナ店長のシャディさんが、当日の朝4時頃から仕込みをしてくれました。

羊の丸焼き♪

お披露目の時は、まるで、披露宴のケーキカットの時のようでした♪

アルミーナシェフのシャディーさん(左)

美味しくボリュームもあり、パッセンジャーのみなさまからも大好評の一品でした!!




★ワークショップ
ワークショップでは、「日本の人にパレスチナを伝えるには?」というテーマで考えました。

聖書にもコーランにも載っているところに行ける!という情報を、ジャパネットたかたの(元)社長に話してもらい、実際に来て「思ったよりもよいところ」と感じていただいたあとに、パレスチナの問題を考えてもらえれば・・・といったアイデアが出ました。



★私たちには何ができることは?
お二人のプレゼンの最後、パッセンジャーより、政治的な問題がある中で、私たちはどういった貢献ができるのか?という趣旨の質問がありました。

私たちは政治の問題に直接介入することはできない。しかしながら、目の前で困っている人たちはいるわけで、パレスチナに継続的に支援していく必要がある。
経済的に力をつけていくことができれば、いずれはイスラエルと対等になれるかもしれない。

お二人からはこのようなコメントをいただきました。

私たちそれぞれの行動が、すぐに大きな効果となるのは難しいかもしれません。
ただ、一人でも多くの人が、パレスチナに想いを寄せ彼らのために何かできれば、少なくとも自身が関わった人たちの意識や想いを変えることはできるかと思います。
それは、延々と、長い道をあてもなく歩いて行くのと同じことかもしれない。

現地で何か活動をしなくても、例えば旅行に行ってみる、パレスチナの名産品を買ってみる、レストランでパレスチナ料理を食べてみる・・・そういった身近な行動も、私たちにできる支援。
今回の便をきっかけに、パレスチナに興味を少しでも持っていただけたら本望です。

最後にみなさんで記念写真♪

★パッセンジャーのみなさまより・・・
パレスチナ便にご搭乗いただいたパッセンジャーのみなさまからいただいたコメント、一部ご紹介します♪

パレスチナ=ガザ、というイメージが変わりました。

*歴史を知って、逆に被害者の部分があることがわかった。

*安全な地区とそうでない地区の確認が出来た事、観光客数が多い事など、肝心な情報を学べました

*日本のが行っている中小企業支援団地計画の素晴らしさに驚きました

*以前1度パレスチナに行ったことがあったので、改めて安全な国を再確認しました。また、訪れた時は、なかなか政治的な話題に触れることができなかったので、同じく訪れた方々の話などが聞けてよかった。

*パレスチナ問題に希望を見いだすかというと、聞けば聞くほど、まだまだ長い道のりだなと。

*パレスチナは危険という印象しかなかったけれど今回のランチトリップで訪れてみたいと思いました。地域の人たちの暮らしをもっと知りたいです。

*危ない紛争地域というイメージから、本当は歴史と自然豊かな美しい国であり、またパレスチナの人々は、土地を追われたかわいそうな方たちで、決して乱暴な人たちではない、ということを知りました。

観光する国としてイメージがわかなかったのですが、一つの選択肢になりました


… いかがでしたか?
みなさまには、テロと空爆ではない「パレスチナ」を見ていただけたかと思います。
農業が盛んなジェリコの街並み

★スピンオフイベント開催!
予想外にもすぐに満席になってしまった、今回のパレスチナ便。キャンセル待ちいただいた方もたくさんいました。
パレスチナ問題を理解するためには、彼らを取り巻く歴史等を知る必要がありますが、今回は時間の関係から、深く取り上げることができませんでした。

そのような背景から、スピンオフイベントとして、特別便を開催することになりました。
こちらもおかげさまで満席となってしまいましたが、別途、日本にいるパレスチナの方々を招いての Lunch Trip など、ご要望があればぜひ企画したいと思います。ぜひ、お声掛けください!!

パレスチナ便 Crew


2/11 Lunch Trip パレスチナ便 - Find New Palestine -  (2)

こんにちは。Crew の Chappy です。
2015年2月11日、パレスチナにゆかりのある、岩浅さん、向井さんを招いて、パレスチナ便を運航しました。

従来のイメージではない「パレスチナ」を教えてくださるのにふさわしいお二人でした。

パレスチナは陶器でも有名

※パレスチナ便レポートは、全部で3つあります!
Part1はこちら
Part3はこちら

続いてPart2。


「観光」という新しいパレスチナを旅した後は、岩浅さんによる、もう少しパレスチナ問題にフォーカスしたお話。


★衝撃の事実!?
最初は、アラファト議長の自宅での会談風景から。
岩浅さんは、お付き合いのあるビショップに連れられてきたとおっしゃっていましたが、そのビショップと、アラファト議長は、なんと親戚同士
会場からも「え~!」という声が上がりました。

イスラム教徒とキリスト教徒は仲が悪いというイメージがありますが、パレスチナではイスラム教徒とキリスト教徒の間では交流があり、教会にイスラム教徒の方が行ったり、モスクにキリスト教徒の方が行ったりもするようです。
アラファト議長からいただいたというクリスマスカード
ベツレヘムの星目指して、3人の博士が向かったけれど、
今では壁があってたどり着けない…という風刺画


★パレスチナ自治区の変遷と今・・・
続いて、パレスチナ自治区の領土が、歴史とともにどのように変化していったか?と、検問所や壁によって、パレスチナ人が自由に移動できない状況を簡単に説明いただきました。

1947年の国連による分割案が出された後から、1967年の中東戦争後に設定されたグリーンライン、1994年のオスロ合意ではグリーンラインのところまで戻そうということになったものの、その後更に領土は狭まっていきます。


★パレスチナで行っていること・・・
続いては、岩浅さんがパレスチナでされている活動について。
パレスチナでは、日本のODAにより建てられた橋が破壊されたり、2006年に日本が提案した「平和と繁栄の回廊」構想が進まなかった状況でした。

当時、所属していた若者の起業を支援するNPOで、パレスチナに対する新しい支援を模索しないか?という話があがりました。支援がパレスチナの人々に役立つには、どんなニーズがあるのか実態調査をする必要がある! それを外務省に打診しました。
更に、地理的な理由から輸出がしやすい「ジェリコ」に、中小企業支援センター(団地)を設立し、パレスチナの中小企業を支援する計画も出しました。パレスチナの企業のほとんどは、零細・中小企業であり、これらをとりまく経済をまずは活性化することが目的です。

「ジェリコ」は肥沃な土地で農業が盛んではありましたが、候補地として取得していた土地は、緑も山も何もない荒地。そこから岩浅さんたちの挑戦が始まりました。

様々な苦難を乗り越え、現在は、ようやく、団地内の道路の整備や太陽光発電所などができあがってきているようです。


★問題解決について思うこと
岩浅さんのパレスチナでのご経験を聞くには、とてもとても少ない時間でしたが、最後の方では、問題解決について思うことをお話いただきました。
経済、政治、外交、そして特に領土問題は、そう簡単に白黒つけられる問題ではないこと、複雑な要因が絡まったグレーゾーンでいかに落としどころを見つけていく努力が必要であること、多角的に分析して全体にとってよい方向に持っていくことが必要であるとお話いただきました。

お話の終わりには、岩浅さんからパッセンジャーのみなさまに、エルサレムとベツレヘムの子どもたちが作成した、野の花のしおりをいただきました!
しおりを作った子どもたち

岩浅さんからもメッセージをいただきました!

== Lunch Trip に搭乗してみていかがでしたか? ==
先ず、とても楽しい企画にまとめ上げられていると感じました。
クルーの皆さまのドレスコードと言い、会の進め方と言い、一般の講演会やセミナーとは一味違った趣向が凝らされています。
学ぶ上で、このように「楽しく学ぶ工夫」はとても参考になり、今後のイベントの企画課題として大いに学ばせて頂きました。

== 岩浅さんとパレスチナの出会いのきっかけは何ですか? ==
私は、クリスチャンとして、聖書に出てくる数々の場所やそこでの出来事にはとても興味があり、訪ねて自分の目で見て、また聖地そのものを体験してみたいと思っていました。
それで日本聖公会東京教区の主教(Bishop)の聖地訪問の随行員の公募があり、それに応募して、認められ、随行員として訪問したのが最初の訪問です。
ただ、「出会い」の定義には色々あるでしょうが、本当の意味でのパレスチナとの出会いは、アラファトとの出会い、パレスチナの人々との出会い、それをきっかけとして知った数々の驚きが出会いと言って良いでしょう。
私たちはパレスチナに限らず、色々なことを通して、色々な出会いがあります。
その出会いを、ただ通りすがりの出会いにしないで、そこを、何かの出発になる出会いにする時、新たな人生の展開が始まるかも知れません。 
皆さまにこれから素敵な出会いがあります様に心から祈っております。

== 岩浅さんからみたパレスチナの魅力を教えてください。==
第一に、聖書に出てくる場所に直接訪れる事ができる事でしょう。
聖書の中の出来事、そこで語ったイエスや弟子たちの話、そうした事を想いながら、その同じ場所に居ると思うだけで特別の思いが彷彿としてきます。
是非、訪問なさる前に、宗教書ではなく、歴史書としての新約聖書をご一読されてからいらっしゃることをお勧めします。

第二は、自然の美しさです。緑の野山や草花は勿論ですが、岩山や砂漠の様な荒れ野にも、自然の造形を楽しむことが出来ます。

第三は、そこに住む人々です。パレスチナ人は間違いなく親日的と言って良いでしょう。

あるパレスチナ人から聞きました。
『日本という国は、とても尊敬しています。あのアメリカと言う大国に堂々と戦いを挑み結果は壊滅状態になったが、そこから立ち上がって、世界第二の経済大国にまで復興させた。そのベースには、勤勉さと技術力そして知性の高さがある。パレスチナ人は皆日本を尊敬し、見習いたいと思っています。』

一人一人がプライドをもって、占領下という困難な現状を打ち破ってパレスチナを独立国家に築いて行こうとしています。
人々の誇り高い、そうした生きざまをみる時、フロンティア精神の原点を見る思いと同時に、私たちの心の底に潜んでいる力のようなものが、湧き上がってくる思いがしてくるのです。

== パッセンジャーのみなさまにメッセージを! ==
パレスチナで現在起きている事を、注意深く見てください。
先日のご案内でも話しましたが、国際法では、武力支配に対する抵抗活動は、「正当防衛」であると明記されています。
報道では、テロという言葉が様々な抵抗活動にも適用されている様ですが、テロへの報復と称して、権力側が抵抗活動を抑えようという動きがみられます。
イスラエルとの争いのどちらの言い分に正義があるかを、よく考えてみてください。自分に利が有る無しに関係なく、どちらの言い分が正しいのかを見極めてください。
そして出来る方法で声を挙げてください。良識ある世論の持ち主になることも、声を挙げることに通じると思っています。



Part3につづく・・・

2/11 Lunch Trip パレスチナ便 - Find New Palestine -  (1)

こんにちは。Crew の Chappy です。
2015年2月11日、パレスチナにゆかりのある、岩浅さん、向井さんを招いて、パレスチナ便を運航しました。

従来のイメージではない「パレスチナ」を教えてくださるのにふさわしいお二人でした。

※パレスチナ便レポートは、全部で3つあります!
Part2はこちら
Part3はこちら

Part1(この記事)では、観光についてご紹介します。

ヘブロングラス カラフルでとてもきれい☆


★ パレスチナ便ができるまで・・・
パレスチナ便は、私がLunch Trip で活動するようになってから、ぜひやってみたいと思っていました。
私自身が、パレスチナの問題の根底は「宗教の対立」だと思っていたから・・・

数年前、今回のガイドのお一人、岩浅さんの講演に行きました。

「クリスチャンの岩浅さんが、異教徒のパレスチナ人を支援するってどういうこと?」

その時、もちろん空爆やパレスチナの方々が受けている迫害などのお話もありましたが、私の中でとても印象に残ったのは、キリスト教徒とイスラム教徒の交流があることでした。

この衝撃は、ぜひみんなにシェアしたい!
(今ではとても恥ずかしいくらいなほど、何も知らなかったんだな~という気持ちですが 笑)
そんな思いがきっかけで、パレスチナ便を企画しました。


岩浅さんとの打ち合わせ@アルミーナ


★ パレスチナ x 観光
パレスチナに行ったことのない多くの方にとって、「パレスチナ」と聞くと、「空爆」や「テロ」を思い起こすのではないでしょうか。

もちろん、そのような出来事も事実としてはあります。しかしながら、これだけでは、パレスチナを説明することはできません!
ガイドの向井さんからは、そんなイメージを覆すような「旅先としてのパレスチナ」をご紹介いただきました。

パレスチナは、ガザ地区と西岸地区に分かれます。


ガザ地区では空爆による影響で多くの市民が犠牲になるという悲しい出来事が最近もありましたが、一方で、西岸地区は、年間220万人(2011年)もの観光客が訪れています。イスラエルは年間300万人ほどですが、それと比較しても結構な人数が訪れています。

今回ご紹介いただいたところは、「エルサレム」、「ベツレヘム」、「ジェリコ」、「ラマラ」、そして、現在渡航延期勧告が出ているところではありますが、「ヘブロン」と「ナブルス」です。


* 見どころ ① 「アル・アクサ モスク」と「嘆きの壁」
「エルサレム」と言えば、この2つが有名です。旅行会社のパンフレットにも、ここの写真は必ずと言っていいほど掲載されているので、ご存知の方も多いかと思います。
嘆きの壁とアルアクサモスク

また、エルサレムはスーク(市場)も見どころ。

ここを歩いてみるのも楽しそうですね!

* 見どころ ② 「キリスト聖誕教会」とベツレヘム郊外
ベツレヘムと言えば、「キリスト聖誕教会」。こちらもご存じの方が多いのではないでしょうか。
キリスト聖誕教会

イエスが生まれたとされる洞窟があり、年間を通して、世界中から多くの巡礼客や観光客が訪れるスポットです。

ベツレヘム郊外には、パレスチナNo.1 の絶景(?)「マールサバ修道院」(ケデロンの谷)があったり、
 マールサバ修道院

世界遺産となっている「バティール」があります。
世界遺産 バティール

※バティールについては、こちらの記事もご覧ください


*見どころ ③ ジェリコ
ジェリコはヨルダンとの国境に位置する都市で、海抜マイナス300Mほどという低い土地にあります。

遺跡も多いので、パレスチナ観光ではぜひ訪れておいた方がよいところです。
ヒシャム宮殿

上記写真の「ヒシャム宮殿」は、パレスチナのシンボルである「生命の木」をはじめとしたモザイクが見どころです。
ジェリコは、農業が盛んであり、また、冬の温暖な気候から、リゾートの街としてパレスチナの方や外国の方に親しまれているようです。近くには死海もあり、こちらもおススメです。
ツーリストインフォメーションセンターもあるので、ジェリコに行く際はお立ち寄りください!


*見どころ ④ ラマラの夕日、イブラヒムの墓、お菓子
ラマラは、パレスチナの首都(自治政府の政治的首都)ですが、ここの夕日はとてもきれいです。
ラマラの夕日

ヘブロンにある「イブラヒムの墓」。
イブラヒムモスク/シナゴーク

シナゴークとモスク、それぞれ入り口が分かれており、それぞれの方面から同じお墓を眺める・・・そんな変わった風景もみられます。
(左がモスク側、右がシナゴーク側)


ナブルスはお菓子が有名です。行かれた際は、ぜひ食べてみてください!


ラマラ、ジェリコ、ベツレヘムのホテルは結構しっかりしており、有名なチェーンのホテルもあります。
日本人でも泊まれるようなところであると、向井さんはおっしゃっていました。


【パレスチナ観光☆おススメ情報】
事前学習でも紹介しましたが、パレスチナの観光情報がよくわかるサイトをご案内します♪

- Visit Palestine
http://www.visit-palestine.net/
*日本語では一番よくまとめられているサイトです。各都市の歴史的な背景の説明もあり、勉強にもなりますよ!旅のプロ、おススメサイトです。

- 地球の歩き方「今、こんな旅がしてみたい!」ライブレポートweb版
http://www.arukikata.co.jp/imatabi/special/e-book/#137
*雑誌に取り上げられたパレスチナの特集が、こちらでも見られます!

- This week in Palestine 現地で配布されている無料の情報誌(英語)
http://thisweekinpalestine.com/
*ガイド向井さんのおススメサイト。観光地だけでなく、イベント情報もわかります。
メインページ「Article」の左側をクリックするとPDFをご覧いただけます。
毎月更新されているようですので、パレスチナに行く前に、ぜひプリントアウトしてくださいね!


★パレスチナの昔・今
エルサレムは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教にとっての聖地であり、旧約聖書に出てくる街や建物、遺跡など、パレスチナの観光では「古い歴史」を見ることができます。

一方で、「現在の歴史」も進行中であり、西岸地区各地に点在する検問所や、壁、イスラエルとのインフラの整備状況の違いなどから、パレスチナの今を見ることもできます。

現地の方と違い、私たちは壁の向こう側にも行くことができる・・・そのような体験から、パレスチナ問題を考えるのもよいかもしれません、と向井さん。

パレスチナは、まだまだ観光地としてはあまり整備されていません。医療、教育、電力や水道といったインフラにお金をかけなければならない状況で、観光の整備にまで回らないのが現状です。
でも、昔ながらの遺跡などがそのまま残っているので、それを楽しむように回るとよいでしょう、と向井さんよりアドバイスがありました。


★観光プロジェクト
昨年9月に開催されたツーリズムエキスポで、パレスチナは初めてブースを設けました。
私も立ち寄ってみましたが、デーツやはちみつの試食、アラブ文字で名前を書いてくれるイベントがあり、ブースはにぎわっていました。
当日は、JICA がパレスチナの観光局と一緒に進めているプロジェクトで作成したパンフレットをいただき、パッセンジャーのみなさまにお渡ししました。

こちらがそのパンフレットです!

ステキな写真や、各地の魅力が書かれており、パレスチナの観光地を知るにはいい資料ですので、ぜひご覧になってみてください。


★前半のおわりに・・・
「パレスチナ」って、旅行会社のツアーにありそうで、なかったりします。
あったとしても、本当に数少ない。おそらく、「イスラエル」メインのツアーの中に、今回ご紹介した旅先が含まれているかもしれないです。
ガイドの向井さんと打ち合わせをしていて、私自身にとって、これもまた新たな発見でした。

もっとたくさんお話聞きたかった~! 
Crewからもそんな声があがっていた向井さんに、インタビューです!!


=== Lunch Trip に搭乗してみていかがでしたか? ===
いろいろな方がいらっしゃられて驚きました。いろいろお話できました。久しぶりのパレスチナ料理もおいしかったです。楽しい会でした、ありがとうございました。

=== 向井さんとパレスチナの出会いのきっかけは何ですか?  ===
15年前に仕事で訪れたのが初めてです。当時はまだ分離壁はありませんでした。

=== 今回、色々な観光地を紹介いただきましたが、向井さんイチオシの場所を教えてください! ===
ラマラからタイべを通ってジェリコへ降りていく時に見えるヨルダン渓谷の雄大な眺め、ベツレヘムの聖誕教会の広場は反対側にモスクもあってスーク(市場)が賑わっていていい雰囲気、ラマラのアンカースホテル最上階のレストランは夕日がきれいでビールがおいしい、などなど、たくさんあります。

=== パッセンジャーのみなさまにメッセージを! ===
楽しい企画をありがとうございました。パレスチナにご興味を持っていただきありがとうございました。いいところですので、ぜひ一度、お越しください。

パレスチナ便 Crew & Guide のみなさま



2015年2月11日水曜日

3/1(日)LunchTrip特別便~パレスチナ問題の歴史・現在~


Dear Passengers,
*English follows Japanese

”美味しい笑顔が世界を好きになる直行便”
都内の異国レストランや大使館を巡り、美味しいランチを食べながら、異文化理解をします。
今回は「パレスチナ問題」により深くフォーカスをあてる"特別便"を急遽開催決定致しました。

この回では通常便と違い、
「楽しむ」というよりは「学ぶ」要素が強い会となりまして、
皆様とともに実り多き会となれれば幸いです。

ガイド(プレゼンター)に話をしてもらう中で、
「パレスチナ問題」の歴史背景~現在にフォーカスをあて、
皆様の「知りたい」ニーズにお答えして参ります。
今までよくわからなかった複雑な「歴史」背景の理解に加え、
「現代」イスラムの問題と今日がどう関連しているのか、
についても触れたいと思っております。

急に開催が決定したことから、ガイドは、現在調整中です
決定次第、随時詳細をFacebookやBlog等でご連絡させて頂きます。
■秋山貴俊氏
1984年生まれ。調査会社を経て,現在は私立小学校教員(社会科)。
浪人時代に世界史に興味を持ち,大学時代にカンボジア,イラン,イスラエルなどを巡り,
教育こそ和平への手段であると強く感じる。国際問題を世界史を軸とし,小学生にも理解できるレクチャーを行っている。2009年に「社会人として知っておきたいパレスチナ問題」の勉強会をLunch Tripで開催し、今回2回目となる。

他に、ジャーナリスト、専門家、etc.. 登壇調整中です

なお今回は時間構成を鑑み、ワークショップを設けるかは検討中です。
過去と現代の両方の視点から、ガイドを通してパレスチナ問題を深掘っていきます。

もちろん、”ランチ”もご期待ください!
パレスチナ料理のアルミーナ店長が腕をふるい、パレスチナ料理もご準備しておりますので、お料理も堪能いただけます。ぜひこの機会に、ご搭乗お待ち申し上げます。

【日時】 Date/Time
3月1日(日)
11:30搭乗開始(開場)、11:45離陸(開始)、14:30着陸(終了)
※時間は前後する場合がございます。
      
【場所】Place
AL MINA(アルミーナ)
東京都千代田区神田多町2-2-3元気ビルB1F
http://www.almina-restaurant.com/access.html
03-3526-2489

【食事】 Food
パレスチナ料理 / Palestine cuisine

【Crew】
Yoko,Naho,Chappy,Ami
    
【旅費】
4,000円
    
【定員】
30名
      
【事前準備】
旅に備えて、旅の準備のお願いです。
短い時間でたくさんの学びを得るためにも、ぜひ、よろしくお願いします!               
★★ 事前課題 ★★
- まんが パレスチナ問題を読んできてください
山井教雄 講談社現代新書

【申し込みURL】
満員御礼のため、只今キャンセル待ちを受け付けております。
下記URLよりお申し込みください。
http://kokucheese.com/event/index/265661/
    
   
Welcome on board !
   
Lunch Trip started in 2008 as a social group formed to learn about different cultures through cuisines from various parts of the world. We “travel around the world” by having lunch and hearing stories shared by someone who has experienced a stay, traveled or lived in the chosen country.
    
So far, we have taken "trips" to more than 40 countries, often collaborating with embassies and companies. Outside of Tokyo, there is also Lunch Trip Fukuoka and Osaka and Shizuoka Brunch.
   
We call the lunch a "flight," and Crews help Passengers to enjoy their experience. Please fasten your seatbelt and let us take off on a great trip together.
      
We will have the event "Lunch Trip -Learning Israeli–Palestinian conflict-" on Feb 11th at “Al MINA”, a Palestine restaurant near Kanda station in Tokyo.
    
Please come and join our event "Lunch Trip "to enjoy our flight together!

☆ 世界遺産のバティール村 ☆  by 村橋真理 (PFJ)

バティール村は、パレスチナ西岸のベツレヘムの西、
エルサレムの南西数キロの所にある村です。

泉があり、古代ローマ時代から灌漑を利用して段々畑で農業が行われてきました。
その景観により、20146月に世界文化遺産に登録されました。

 

 

 


ローマ時代から今に至るまで、泉の水を灌漑に使い、農業が営まれてきました。
バティール村の8家族のそれぞれの畑に一日交替でこの貯水槽から水を引いています。
そのため、バティール村の暦は一週間が8日間だったそうです。
村で作られた野菜や果物は、エルサレムの市場で売られていました。

















バティール村は”里山”です。
村の人たちの家には、様々な果物の木やハーブが植えられ、季節になると、採りたてのアプリコット、リンゴ、レモン、オレンジなどが食卓に並びます。村のお母さんたちは、ジャムやコンポート、様々なものを手作りします。
















夏にはブドウの葉が茂り、心地よい日陰を作ってくれます。




村には伝統的な石作りの家が残っています。”7人の寡婦”地区では、海外からの支援によって、古い家が修復されました。



村には、エコツーリズムによる活性化を目的に設立されたBattir Landscape Ecomusemという団体があります。
古いアラブ式の家をリフォームしたゲストハウスもあります.














担当は、マイさん。
2007年に、山梨県小菅村での里山体験プログラムに参加したことがあります。















村の谷間、いくつかのハイキングトレイルが整備されています。
春には、シクラメンやチューリップ、アネモネ、様々な野生の花々が咲きます。














行き方:ベツレヘムからセルビス(乗り合いタクシー)で10分ほど 
※セルビスの発着時間は定期的でないのでご注意を。

-- Battir Landscape Ecomuseum --
Facebook: BattirLandscapeEcomuseum


** PFJ (Peace Field Japan) **
http://peace-field.org/
イスラエル・日本・パレスチナなどの青少年が、日本の里山で自然、文化、伝統にふれる様々な体験を共有し、持続可能な平和に向けて対話・交流する機会を提供


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